INTER-WORLD/SPHERE》

この作品の素材はホログラム加工をしたポリフィルムである。だから通常の意味でテキスタイルのアート作品というわけではない。 しかし作者の奥中は二つの視点から、この作品をテキスタイルと考えている。 なぜなら、この作品の鑑賞とは、その時の日照条件などの外的要因という縦糸に対し、鑑賞者の作品との位置関係、そのときの気分や情緒などという個人的要因の横糸が交差して「織り成す」一期一会の体験なのだ。それはその時、その場所で、その人しか見ることのできない虹彩を生む実存としての織物なのである。 第二として、これまで彼は作品の制作過程を必ずオープンアトリエとして公開してきた。一般市民とともに、地域の場所性や歴史性、土着文化、などと交差して、作品は人間のつながりの基盤の役割を果たしてきた。その交差模様こそ彼にとっての「織りものなのだ」だとも語っている。 こうした視点はアジア圏における「縁起」などの仏教的な世界観とも通底し、哲学者ライプニッツのいうところのモナドロジーと、その関係性のダイナミズムでもあると考えている。

[参考図版] INTER-WORLD/SPHERE: The three bodies
2021
写真 白木世志一
提供 北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs

Profile

美術家。1981年京都府生まれ、同地在住。あおいおあ / AO Institute of Arts 共同代表。木津川市山城総合文化センター体感アート講座 主宰。静岡県立美術館ならびに知的障害者の社会福祉施設にて美術遊びの講師を務めたのちに近現代の思想を学び美術家となった。国内外の文化財団などの助成を得てフランス・韓国・中国のAIRで長期研修を受ける。各地の地域アートで研鑽を積み、体験的な巨大作品やワークショップ開発をする美術家として国内外で発表している。主な活動として、北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs『INTER-WORLD/SPHERE: The three bodies』、LUXELAKES A4美術館2019国際レジデンスプログラム、六甲ミーツ・アート芸術散歩2017主催者特別賞、第7回モスクワ国際ビエンナーレ・パラレルプログラム『Yearning for The Sky』、木津川アート2016グランプリ+市民賞など。