/ Akihiro Hasegawa

展示会場
(06)KURA HOUSE
《懺悔、来迎、光。あるいは地平線》2025
《懺悔、来迎、光。あるいは地平線》2025
About Works
[キュラトリアル・コメント]

展示空間の中央には、三身即一を想起させる三つのシルエットが置かれ、光の層の中から立ち上がるような構成が取られている。両側に並ぶ縦長の画面は、厨子が開くかたちを思わせ、織りの糸の束や、上昇する光の流れとしても読むことができる。足場の悪い階段を3階まで上がる必要のある本会場は、長谷川はいわば富士塚に見立てていると語っており、頂上にてご来光を拝むような鑑賞体験が想定されている。
制作期間中、長谷川の思考に浮かび上がっていたのが「ブロッケン現象」だったという。霧がかった高山で、背後から差す光によって自身の影の周囲に虹の輪が現れる現象で、かつては阿弥陀如来の来迎と結びつけて語られてきた。科学的な原理が知られた現在でも、その像がもつ神々しさは失われていない。本会場は、富士山の山頂でふと振り返ったときに現れるこの現象を、たどることのできる“出現の場”として扱われている。
富士吉田はもともと信仰の地であり、富士山の山頂に阿弥陀如来がいると考えられてきた場所でもある。本展示では、築70年以上の蔵を“お堂”として見立て、長い時間の堆積が残した影と光を読み替えるように構成されている。観る者は、空間に配置された光の作用と画面の構造を追いながら、仏教的な視座、風土の歴史、そして光と影のあいだに立ち現れる、この場所が持つ時間の厚みに触れることになる。長谷川は天台宗系の寺院に生まれた僧侶として、2009年に得度、2019年には天台真盛宗西教寺で四度加行を満行したという経歴をもち、そこで育まれた死生観は、彼の作品にたびたび登場する「光」という主題に確かな根拠を与えている。
Artist Profile
長谷川 彰宏 / Akihiro Hasegawa
©Akihiro Hasegawa

長谷川 彰宏 / Akihiro Hasegawa

1997年三重県生まれ。現在は東京を拠点に活動。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修士課程修了。天台宗系の寺院に生まれ、2009年に得度し、2019年に天台真盛宗 ⻄教寺にて四度加行満行。感情、思想、身体、そして生命の存在に対して俯瞰した視点を持つ長谷川の作品群は、彼の根幹をなす仏教思想から得た独自の姿勢が垣間見え、死生観や人間の存在そのものを問いかける。幼少期から“光”に視覚的にも思想的にも強く惹かれてきたという長谷川は、その原体験を作品に落とし込んで表現している。主な個展に√K Contemporary(東京、2024)、「NANJO SELECTION vol.6 無量光」(N&A Art SITE、東京、2024)、「よもぎとコンプ」(√K Contemporary、東京、2022)など。主なグループ展に「再生と未来」(ASTER Curator Museum、石川、2025)、「VOCA展2025」(上野の森美術館、東京、2025)、「THE ART OF COLOUR」(東京、2025)、「Meet Your Art Festival 2023『Time to Change』」、「KUMA EXHIBITION 2022」など。