安東陽子

/ Yoko Ando

テキスタイルデザイナー

展示会場
KURA HOUSE
《Aether 2022》
Curator’s Text
出展作品タイトル:《Aether 2022》

安東陽子は、富士吉田街の古い3階建ての蔵を会場に選びました。

木造の建物の各階には小さな窓があるものの、内部は薄暗い空間で、上下を階段で昇降するようになっています。そこに安東は三つの空間の上下を突き抜ける滝のような糸の束を設置しました。この糸は光沢のあるキュプラからなり、光のように軽やかで、かつ艶やかな素材感を持っています。その感覚を安東は、エーテルに例えています。エーテルはアリストテレスが四元素説を拡張して提唱した目に見えない空気のような物質で、我々の身の回りから宇宙まで、全ての空間を満たしていると思われていた空想の物質です。エーテルのような繊維の束が突き抜ける床と天井の部分には、植物をイメージして縦糸を織り込み、高度な技術によって織り留めた、オリジナルなテキスタイルの造形空間をつくります。それは生命と活力の存在を表象しているように見えるでしょう。

安東は、カーテンと布のデザインでよく知られたクリエイターで、これまで多くの著名建築家と仕事をしてきました。特に「台中国家歌劇院」(伊東豊雄建築設計事務所)、「京都市京セラ美術館」(青木淳・西澤徹夫設計共同体)、 「白井屋ホテル」(藤本壮介建築設計事務所)などはよく知られた仕事です。今回の作品では、建築空間とテキスタイルをつなぐだけでなく、デザインとアートに橋をかけ、境界線上の新たな実験ともいえるユニークな作品となりました。

制作協力:Watanabe Textile
Artist Profile
安東陽子 / Yoko Ando

安東陽子 / Yoko Ando

テキスタイルデザイナー・コーディネーター。株式会社 布での勤務を経て、2011年安東陽子デザイン設立。多くの建築家が設計する公共施設や個人住宅などにテキスタイルを提供。
近年の主な協働作品として「台中国家歌劇院」(伊東豊雄建築設計事務所)、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」(伊東豊雄建築設計事務所)、「京都市京セラ美術館」(青木淳・西澤徹夫設計共同体)、「南方熊楠記念館」(シーラカンスアンドアソシエイツCAt)、「白井屋ホテル」(藤本壮介建築設計事務所)、「八戸市美術館」(西澤徹夫建築事務所 PRINT AND BUILD 森純平)などがある。名古屋造形大学、多摩美術大学客員教授。 著書『安東陽子|テキスタイル・空間・建築』(LIXIL 出版)

photo: Sadao Hotta