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Patrick Carroll

展示会場
旧ニコル喫茶店
《Memoriam/追悼》 Patrick Carroll 撮影 : 吉田周平
《Memoriam/追悼》 Patrick Carroll 撮影 : 吉田周平
Curator’s Text
出展作品タイトル:《Memoriam/追悼》

2019年12月、パトリック・キャロルは1970年代の家庭用手編み機、Studio sk-560を購入しました。2ヵ月後、神経変性疾患を長年患っていた父親が、終末期医療による人生の終わりを選択し、家族に看取られながら自主的な最期を迎えました。その3週間後には、新型コロナウイルスの影響によりカリフォルニア州の多くの場所が閉鎖されました。
ボックススプリングス山脈の麓にある家で、友人2人と共に暮らしていたパトリックは、パンデミックという社会的な広がりを持つ事態と、父親の死という個人的な事件の両方の悲しみを抱えました。クリエイティブライティングの修士号を目指すパトリックは、購入した手編み機の使い方を学び、言葉や文章を編み込んだユニークな衣服や芸術作品の制作に没頭するようになりました。過去を学ぶことから制作する彼の活動は、作品に多くの文章の引用を用いています。共鳴する詩的世界を築き、労働の価値やファンタジー(聖書の「伝道者の書」からシェイクスピア、カントリー歌手のドリー・パートンや、アニメのポケモンまで含む広範囲な文章)、悲しみ、ジェンダーとシルエット、徳と罪に関する宗教言説をテーマとしています。 今回の展示は、この繊細なアーティストの喪失と再生の時間を振り返る回顧展のようなものです。 街のメインストリートにある、かつてのカフェに過去2年半の創作の集大成を配置し、展示します。

ゲストキュレーター:アリエ・ロゼン
協力:Kornit Digital
Artist Profile
パトリック・キャロル / Patrick Carroll

パトリック・キャロル / Patrick Carroll

1990年生まれ。カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動。2012年にプリンストン大学の比較文学学士号を取得後、ライターとしての活動を経て、2021年にカリフォルニア大学リバーサイド校にて、クリエイティブ・ライティングの美術学修士を修了。 2020年より芸術家としての活動に励み、ソーシャルメディアを通じて作品を発表している。2022年6月にはJW Anderson Men's SS23 / Women's Resort23 ショーの一環としてソロインスタレーションで作品を発表、また直近では、RISDミュージアムのグループ展「Any Distance between Us」や、ダ・シルバ・ギャラリーやフラワー・ヘッドにてグループ展に参加。