/
Studio GEOMETR

展示会場
旧山叶
作品イメージ | Changes of the Mountain
作品イメージ | Changes of the Mountain
Photo by Gu Kenryou
Curator’s Text
出展作品タイトル: 《Changes of the Mountain》

機織機などを扱っていた旧山叶の建物とその倉庫を結ぶ回廊部分に設置されているのは、チェコ共和国のアーティストユニット、スタジオ ゲオメ トルによるタペストリーである。
タイトルの"Changes of Montain"は、時間や天候によって常に姿を変える富士山の姿をイメージしたインスタレーションからきている。表面に浮かび上がる絵画は、機に縦糸を張った状態で描かれたもので、そこに横糸を織り込んで一つの世界観を作っている。イカットと呼ばれる技法をゆるやかに取り入れている。20 世紀初頭の手織り織機や、19 世紀末から続く織物 工房の工業用織機を用い、チェコのテキスタイルの歴史を踏まえているが、糸の上で踊るフリーストロークのみずみずしい抽象表現は、テキスタイルとは思えない自由な表現を示しており、そのため現代美術の文脈でも 展示の機会を得てきている。これらは自然豊かなチェコでの制作環境に加え、インドネシアや日本等での滞在経験がインスピレーションの源泉となり、内的、外的な心象風景を表出している。伝統と革新、固有の文化と国 際性、二人のアーティストの個性が、豊かな色彩をもって幾何学的(ジオメトリック)に織り上げられた作品である。
Artist Profile
スタジオ ゲオメトル / Studio GEOMETR
Photo: Jan Hromadko

スタジオ ゲオメトル / Studio GEOMETR

リンダ・カプラノヴァーとクラーラ・スピシュコヴァーは、2008年にプラハの美術建築デザインアカデミーで出会い、2016年建築の内装デザインやファッションに重点をおいたテキスタイルの創作スタジオ、Studio GEOMETRを設立。主要な作品は、伝統的なイカットの技法を使ったタペストリーやテキスタイルによる壁面絵画である。創作には手織り機と、家族経営による最後のチェコ製織工場の協力を得た工業用織機を使用している。外界の風景と心象風景そしてその幾何学から着想を得た創作の意図は、鮮やかな色彩で縦糸に描かれた絵画によって表現されている。建築家との協働としては、プロジェクトごとにテキスタイルによるアートワークを担当(Dagmar Stepanova主宰の建築スタジオForma Fatalによる個人住宅プロジェクトAchiote/2022および建築スタジオMalfinioによる集合住宅プロジェクトE07/2022)。
2018年チェコグランドデザインアワードで2017年度の新人賞を受賞。その副賞として各地にあるチェコの文化機関への研修訪問の機会を得、東京のチェコセンターを希望し来日。この研修旅行をきっかけに2021年金沢のギャラリーSKLoで展覧会を開催。

協力:チェコセンター東京