/
Nelly Agassi

展示会場
旧山叶
作品イメージ|mountain wishes come true
作品イメージ|mountain wishes come true
Photo by Gu Kenryou
Curator’s Text
出展作品タイトル: 《mountain wishes come true》

シカゴを拠点とし、多領域を横断して活動する著名アーティスト、ネリー・アガシは、この度日本では初となる大規模作品展「mountain wishes come true」が開催される旧山叶ビルと特別な絆を結ぶこととなった。旧山叶は、今年の始めまで地元富士吉田のコミュニティと産業の中心的存在だったが、現在はその店舗と倉庫は整理され空いている。市内にはその他にも行く末がまだ決まっていない空き店舗や建屋があり、旧山叶ビルもそのうちに一つに過ぎない。
「mountain wishes come true − 山の願いは叶う」(旧社名・建物の直訳)は、アガシと旧山叶ビルやその周辺地域との対話を公開する場となる。彼女は伝統と革新の架け橋となり、独自の芸術的ビジョンと地元の特性を巧みに融合させている。また、時間、記憶、拾い物、想像力といった物理的かつ形而上学的な要素を用いて、空間の歴史、これまでの変遷、そして無限の可能性を秘めた未来に触れようとしている。
この度は新たに空っぽとなった建造物で、現在取り組んでいる作品や実践、そして、彼女と非常に親しい人たち(10歳の息子ヨナや、長年のサウンド・コラボレーターであるライアン・パッカードなど)や、ここ数ヶ月の間に出会った人たちとのコラボレーションを多数紹介する。
これらのコラボレーションのハイライトは、地元の繊維研究機関である山梨県産業技術センターとの対話から生まれた、「柔らかな建築」をかたちづくるインスタレーション作品である。色褪せつつも建物の中心的なモチーフとなるビルのファサードを、真新しい姿・形状に柔らかに変容させ、物質の新たな状態を探求しようとしている。そして、その対話と実験の末、芸術的な実践と地元の専門知識の融合が果たされている。この作品を通して、アーティストと空間、そして伝統を受け継ぐ地域社会との相互作用を目撃することとなるだろう。
Artist Profile
ネリー・アガシ / Nelly Agassi
Photo: Itai Neeman

ネリー・アガシ / Nelly Agassi

1973年イスラエル生まれ、シカゴを拠点に活動。パフォーマンス、インスタレーション、ビデオ、アニメーション、テキスタイル、紙作品など、多分野で活躍するアーティスト。彼女の作品は、主に物質、身体、空間を扱っている。特に、建築と関連した公共空間に関心があり、アガシはしばしばサイト・スペシフィックな作品を制作。彼女自身の個人史や人生経験から紡がれた”脆い糸”を通すことによって、場所の記憶や歴史の断片を炙り出そうとしている。

シカゴを拠点に活動するアガシは、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズで学士号を、チェルシー・カレッジ・オブ・アーツで修士号を取得。 彼女の作品は、グラハム財団シカゴ、シカゴ文化センター(シカゴ・ルーム)、アーツ・クラブ・オブ・シカゴ、ハイドパーク・アートセンター・シカゴ、イスラエル博物館、テート・モダン、テルアビブ美術館、ミラノ・トリエンナーレ、ザヘンタ国立美術館(ワルシャワ)、フォクサル・ギャラリー(ワルシャワ)などの施設やギャラリーで各国で展示されている。
アガシは非営利団体Fieldwork Collaborative Projectsの共同設立者であり、2019年度グラハム財団フェローでもある。彼女の作品は国内外の美術館や個人コレクションに収蔵されている。近年、彼女の作品はシカゴ美術館に収蔵された。

[今後のプロジェクト予定]
個展 :フォクサル・ギャラリー(ワルシャワ、2023年秋)、ORD T5委託プロジェクト -シカゴ・オヘア国際空港ターミナル(2023年夏)
グループ展 : Pola Magnetyczne(ワルシャワ、2023年秋)、国際アート見本市ウィーン・コンテンポラリー(2023年秋)
他個展:国際外科学博物館(2024年春)
Dvir Gallery(テルアビブ)、Pola Magnetyczneギャラリー(ワルシャワ)所属。

http://nellyagassi.com/
https://dvirgallery.com/artists/60-nelly-agassi/

Sound:Ryan Packard
技術協力:山梨県産業技術センター
制作協力:槇田商店