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Kenryou Gu

展示会場
旧山叶
作品イメージ|Map Sampling_Fujiyoshida
作品イメージ|Map Sampling_Fujiyoshida
Photo by Gu Kenryou
Curator’s Text
出展作品タイトル: 《Map Sampling_Fujiyoshida》

顧剣亨は「デジタルウィービング」という、複数のデジタル写真を手作業で一つひとつのピクセルごとに「編み込む」独自の手法によって、複数のイメージが重ね合う写真作品を表現する。先染め生地を織り込む時に複数の糸が重なり合って現れる錯覚から着想した本作では、富士吉田市の様々な時代の地図を「デジタルウィービング」を用いて編み込ませ、二枚の透け感のある生地にプリントすることで、新たに立体感のあるイメージを浮かび上がらせる。
その時その場所の意義や史的役割を示してくれる地図という時空間の断面の中には、「生きた歴史」が宿っていると顧は言う。現地リサーチを経て作られた本作では、富士山信仰や、織物業の衰退と発展の推移とともに変わっていった富士吉田市の「生きた歴史」が、二枚の生地の重なり合いの中で錯覚として召喚される。プラットフォーム上から俯瞰する我々の視点の動きに合わせて見え隠れし、時にうねるように遷ろう地図たちの新たな表情は、たしかに「生きている」と形容すべきなのかもしれないし、あるいは亡霊的とも言えるだろう。
Artist Profile
顧剣亨 / Kenryou Gu

顧剣亨 / Kenryou Gu

1994年京都生まれ、上海育ち。京都芸術大学(元京都造形芸術大学)現代美術・写真コース卒業。大学在学中にフランス・アルル国立高等写真美術学校へ留学。現在、京都を拠点に活動中。
移動することで得られる自身の身体感覚を、風景が蓄積するひとつのフィールドと捉え、そこから収集された情報を変換・再構成する装置として写真を拡張的に用いている。時空間を編み込む独自の手法によって、情報の背後に潜在している未知のコンテクストを提示している。
主な個展に「アペルト18 顧剣亨 陰/残像」(金沢21世紀美術館/金沢/2023)、「A PART OF THERE IS HERE」(YUKIKOMIZUTANI GALLERY/東京/2021)、「15972 Sampling」(SFERA/京都/KYOTOGRAPHIE 2019)、「Utopia」(GALLERY WATER/東京/TOKYOGRAPHIE 2018)、「霧霾| Wu-Mai」(ワコールスタディホール京都ギャラリー/京都/2018)、「Utopia」(元淳風小学校/京都/2018)など。主なグループ展に「ENCOUNTERS」(ANB Tokyo/東京/2020)、 「 Collision point on the dimensions」(The 5th Floor/東京/2021)など。主な受賞歴に「KG + Award 2018」グランプリ、「sanwacompany Art Award / Art in The House 2019」グランプリ。

協力:
Yumiko Chiba Associates
Jen XU, Patrick TSAI
株式会社オヤマダ
資料提供:富士吉田市
地図出典:国土地理院発行2.5万1分地形図、2万分1正式図
     ※出典地図を加工して作成