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林嵐 Jaffa Lam

展示会場
旧山叶
作品イメージ|あなたの山を探して
作品イメージ|あなたの山を探して
Photo by Gu Kenryou
Curator’s Text
出展作品タイトル: 《あなたの山を探して》

ここにあるテントか傘のようなインスタレーション作品は、観客の視覚を切り取り、風景を変える働きを持っている。古い工場の跡地に立つ廃屋の屋上に設置されたこの作品から富士山のある風景を眺めると、富士山は特殊なアングルと異質な切り取り方で、普段とは違って見えるだろう。それは今まで見てきたものを再度見直すこと、新鮮な目で見直すこと、新たな視点で見直すことを促している。アートとは、見る視点の特異性のことなのだ。
この作品に使われた布は、富士吉田の機屋さんから収集した、B反と呼ばれる傷などの都合により一般に流通しない布で出来ている。そうした生地を使うことは持続可能性に対する真摯な回答でもある。元々香港で発表された初期には、雨傘の廃品からとられた布を使っていた。そこで、この作品の系譜はずっと環境問題がテーマだったことがわかるだろう。ラムは現在、ヨーロッパでも侘び寂びのセンスを持つアクセル・ヴェルヴォールト画廊に所属し、2023年には画廊の本社、ベルギーのアントワープでヨーロッパ初の個展を開催した。
Artist Profile
ジャファ・ラム / 林嵐 Jaffa Lam

ジャファ・ラム / 林嵐 Jaffa Lam

1973年中国生まれ、香港を拠点に活動。主にリサイクル素材を使ったミクストメディアの彫刻やインスタレーションなど、サイトスペシフィックな大規模作品を得意とする彫刻家。土地の歴史、文化、時事問題に関連する問題を探求する非言語的な会話や対話に関心を持っている。パブリック・アート、伝統工芸の喪失と再生、人間とモノの循環、一見些細な人間の物語を歴史の大きな流れの中でとらえるようなテーマについて考察している。

ラムは、日本の瀬戸内国際芸術祭(2013年)、台北当代芸術館(MOCA Taipei)の「香港ウィーク」(2015年)、デンマークのアロス・オーフス美術館の「A New Dynasty- Created in China」(2015年)、中国の「烏鎮国際現代美術展」(2016年)、フランスの「Lyon Lumières(リヨン・光の祭典)」(2018年)など、多くの国際展に招待されているほか、バングラデシュ、カナダ、中国、フランス、日本、ケニア、ミャンマー、フィリピン、台湾、スイス、アメリカなどでのさまざまなアーティスト・レジデンス・プログラムにも参加している。

直近では、ラムのサイトスペシフィック・インスタレーションが2023年アート・バーゼル香港のエンカウンターズ・セクターに登場した。宙を舞い、社会的な関わりをも持つこのインスタレーション作品は、傘の生地を再利用した14メートルのパッチワークで構成され、工業用トロリーで作られた6つの彫刻の延長線上に組み合わされている。アーティストが「アートフェアのオアシス」と称するこの作品は、労働、アイデンティティ、都市の集団性の問題を提示している。

https://www.jaffalam.com/

竹製作:tomboo 石井知子
協力 : Nelson Leong